ブドウ品種/用語
公式規定品種:94種
栽培面積:約10万ha 白ブドウ55%、赤ブドウ45%
かつては、白ブドウの方が赤ブドウより随分と生産量が大きかったが、
最近の傾向は輸出の増加とともに赤ブドウが増えてきている。
栽培面積の大きい順に記載:()内は2011年の南アフリカ全体ブドウ栽培面積の中でのシェア(%)
<白>
- ■ シュナンブラン(18.2%)
- 南アフリカのブドウ栽培面積で最大。かつ、南アフリカのシュナンブランの栽培面積は、17934ha(2014年)で、世界最大。しかし近年は減少傾向。
- ■ コロンバール(11%)
- 主にブランデーの原料他。
- ■ ソーヴィニョンブラン(9.6%)
- 現在、南アフリカの得意品種にもなっている。
- ■ シャルドネ(8.1%)
- など。
<赤>
- ■ カベルネソーヴィニョン(12%)
- ■ シラーズ(10.3%)
- 最近の10年間で顕著に伸び、今後も益々期待されている品種。
- ■ ピノタージュ(6.5%)
- 1925年、ペロード教授によって、ピノノワールとサンソーの交配で生まれた南アフリカ独自の品種。
- ■ メルロ(6.4%)
- など。
<ケープブレンド>
ピノタージュを30~70%使用したブレンド。
<キャプ・クラシック>
瓶内2次発酵で造られたスパークリング。
主な産地
アフリカのワイン産地は、西ケープ州、北ケープ州、東ケープ州、クワズール・ナタール州、リンポポ州の5つの州ですが、多くが西ケープ州に集中しています。
西ケープ州
- ● コースタル・リージョン(Coastal Region)地域
- 生産者の数、有名銘柄のワインという点でも南アフリカワイン産業の中心地。
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- スワートランド(Swartland)地区
- ブドウ栽培においては、かつてはブッシュヴァイン(株仕立て)が多かったが、最近では品質管理の点で垣根式も増えている。かつては、フルボディの赤ワイン、高品質なフォーティファイド(酒精強化)ワインが生産されていた。スワートランドでは、この地域らしいワインを表現していこうとするSwartland Independent Producers(SIP)が組織されている。最近では、大変評価の高い赤・白ワインが生産されている。また、トップクラスのポート・スタイルのワインも引き続き生産されている。品種的には、ピノタージュ、シラーズ、カベルネソーヴィニョン、シャルドネ、シュナンブラン、ソーヴィニョンブランなどの品種が増加傾向にある。
生産者:バデンホースト、デイビット&ナディア、プルピットロック、リーベック
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- ステレンボシュ(Stellenbosch)地区
- 南アフリカワイン産業の中心地。ちょうど良い降水量、水はけの良い土壌、様々なテロワールが存在する。ワイナリーも近年増加傾向で約150の生産者がある。その中には、ケープ地方を代表する銘柄のワインもある。また、ステレンボシュでは、ワイン生産に必要な教育機関や研究所があります。醸造学と栽培学を学べるステレンボシュ大学。ここでは、多くの有名な醸造家を輩出しています。他にもエルセンバーグ農業専門学校、そして、新しい品種、クローン、台木などの優れた研究を行い、世界的にも最も進んだ実験的なワイナリーを持つニートフルベイ研究所などがあります。品種的には赤のボルドー系品種(カベルネソーヴィニョン、メルロ、カベルネフラン、マルベック、プチベルド)のブレンドに優れたものがあります。ハーテンバーグのセラーマスター、カール・シュルツ氏は、「ステレンボシュは、カリフォルニアのナパ、オーストラリアのクナワラと同じように、カベルネソーヴィニョンにとっては、南アフリカではベストな地区だ。」と、述べている。
生産者:アマニ、ウォーターフォード、ウォータークルーフ、オリジン、カノンコップ、グレネリー、ステレンラスト、タンディ、デヴォール、ドルニエ、ハーテンバーグ、ラーツ、ラステンバーグ、マシュー ヴァン ヘーデン
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- フランシュック(franschhoek)地区
- かつて多くのフランス系移民が移住した地区でグルメタウンとしても有名な街。三方、山に囲まれた地区で、冬には山頂は雪で覆われる。
生産者:グランプロバンス、ブーケンハーツクルーフ
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- トゥルバッハ(Turbagh)地区
- 三方、山に囲まれた盆地で、果物や小麦の生産地。様々な土壌があり、昼夜の寒暖差が大きい。山々の起伏が複雑で、標高、斜面の傾きによって複雑で多様なメソ気候(狭い地域での異なる気候)がブドウ栽培にも大きな利点となっている。冷涼な気候で、シラーズやキャプクラシック(瓶内2次発酵のスパークリング)などに優れたものが多い。
生産者:クローヌ
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- ダーバンヴィル(Durbanville)地区
- ケープタウンに近く、様々な土壌や斜面、冷涼な海風、夜の霧などのお陰で、高品質なブドウが生産されている。中には標高380mに畑がある生産者もある。品種では、特にソーヴィニョンブラン、シャルドネ、メルロ、カベルネソーヴィニョンに良いものがある。
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- ダーリン(Darling)地区
- 冷涼な大西洋に近く、優秀なソーヴィニョンブランが生産されている。その他、豊かな香りのカベルネソーヴィニョン、メルロ、シラーズなども造られている。
生産者:オーモンド
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- コンスタンシア(Constantia)地区
- テーブルマウンテンの南側の斜面で、ケープ地方のワイン発祥地。この地区は、年間1000mmの十分な降水量があり、灌漑の必要がない。また、冷涼な海風の影響で、暑い2月でも平均気温が20.6度までに抑えられている。優秀なソーヴィニョンブランが産出されている。
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- ケープペニンシュラ(Cape Peninsula)地域
- ケープ半島の先端の狭い地区の西側、海に近くて冷涼な気候。特にソーヴィニョンブラン、セミヨンなどに優れている。
- ● ケープ・サウス・コースト(Cape South Coast)地域
- 冷涼な産地で優秀なワインが多く産出しているエリア。
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- エルギン(Elgin)地区
- 冷涼な地区で多くのメダル受賞ワインを産出している。品種では、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニョンブラン、ピノノワール、シラーズなどで、果実味のあるエレガントなワインが生産されている。
生産者:ポールクルーバー、キャサリン・マーシャル
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- ● ブレード・リヴァー・ヴァレー(Breede River Valley)地域
- 乾燥(=農薬が少なくて済む)し、昼夜の寒暖差が大きい(ブドウの色付きが良くなる)エリア。
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- ロバートソン(Robertson)地区
- ブレード・リヴァー・ヴァレーに位置し、石灰質土壌で、ワインとバラ、そして競走馬で有名な産地。降水量はやや少なく、夏は気温が上がるが、湿気を含んだ冷涼な南東の風がこの盆地を冷やしてくれる。元々は、白ワイン、特にシャルドネで有名な地区であったが、最近はソーヴィニョンブラン、シラーズ、カベルネソーヴィニョンで優秀なものを産出している。
生産者:ロバートソン
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- ウスター(Worcester)地区
- ブドウの栽培面積(南アフリカ全体の20%)、生産量ともに南アフリカ最大(27%)の地区。ブランデーの主要生産地でもある。
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- ● クレイン・カルー(Klein Karoo)地区
- マスカット品種が良く栽培され、甘口ワインが多く生産されているが、最近ではカジュアルに飲めるメルロの生産も増えている。カリッツドープでは、ポートスタイルのワインが有名で、ティンタバロッカ、トゥリガナショナルなどの品種も栽培されている。最近では、ポートワイン用のブドウで優秀な赤ワインも造られている。また、この地区では世界的に評価の高いブランデーも生産されている。
北ケープ州
オレンジ川沿いに17000ヘクタールの広大な栽培地があります。
品種は白が中心で、シュナンブラン、コロンバール、シャルドネ、マスカット・アレキサンドリア、ミュスカ・ド・フロンティニャン、などです。
最近はピノタージュ、シラーズ、カベルネソーヴィニョン、メルロ、プチベルド、タナなどの赤品種も栽培されています。
クワズール・ナタール州
グレイタウンから標高1500mに及ぶオリビフラッツとミッドランド一帯で新しくワインが造られています。
東ケープ州、リンポポ州
小規模なブドウ栽培が行われています。