南アフリカは「花の楽園」と呼ばれるほど、全土に約22,000種もの多種多様な花や植物があり、ブドウ栽培が広がるケープ州には、世界自然遺産に指定された90,000平方キロメートルにも及ぶ広大なケープ植物区保護地域群があります。ここだけでも9600種の花と植物がある世界で最も密集した植物区で、驚くべきことに、そのうちの70%は他の地域で見られない固有種とされています。
そして、ケープ地方のワイン産地の95%がこの保護区内にあります。つまり、この豊かな植生を守っていくことが南アフリカのワイン生産者の使命であり、その為農薬を減らし、自然環境を保護しながらブドウ栽培やワイン生産を行っています。
人と自然に優しいワイン造り
南アフリカでは、政府により世界で最も厳しい環境基準(IPW:環境に配慮したワイン生産のガイドライン)が設けられており、減農薬、酸化防止剤微量使用(酸化防止剤の使用制限量は1リットル当たり250mg以下と世界一低い※1)、リサイクルの徹底、水源の維持など、環境的にも人体的にも健康的なワイン造りが行なわれています。
また2010年からは、品質、産地、品種、ヴィンテージを保証し、持続可能な農業の認定を受けたことを証明する為、「品質保証と持続可能シール」制度が導入されました。このシールは各ボトルの首の部分に貼られるのですが、シールの右下にボトル1本1本に違う番号が付けられており、「ワイン&スピリット・ボード」のWEBサイトでその番号を入力すると、生産者や瓶詰め日などの情報を得ることができる追跡体制が整っています。このような追跡システムを採用しているのは、ワイン業界では世界で南アフリカだけであり、いかに南アフリカが、ワインの品質の保証に責任を持って取り組んでいるかが分かります。
※1 日本は350mg/L以下
<南アフリカワインのラベル表記>
- 産地名(WO)
- 生産地名は記載された産地のブドウを100%使用
- 品種名
- ブドウ品種名を表記する場合は、そのブドウを85%以上使用
- ヴィンテージ
- 記載されている年に収穫したブドウを85%以上使用
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品質保証と持続可能シール
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持続可能な農業
労働者の保護、雇用の確保
自然環境の保護と共に取り組んでいるのが、労働環境の改善です。
2002年には、ワイン業界での労働者の待遇と労働環境を監督する組織として、ワイン産業倫理貿易協会(WIETA:Wine Industry Ethical Trade Association)が設立されました。また、2003年には、黒人の経済活動、雇用条件の改善を目的とした黒人権利拡大政策(BEE)が実施。
更に2012年には、「ワイン&スピリッツ常任委員会(WSB)」と、「南アフリカワイン協会(WOSA)」が協力して、これまでのワイン法、自然環境の保護に、労働環境の改善も加えた新しい協定が結ばれました。これに従って、前述の「品質保証と持続可能シール」にWIETAのマークを加えたワイン法、自然環境、労働環境を順守する新しいシール(下記右端のシール)が作られ、これも全てのワインボトルに添付されるように推進されています。
このような環境保護や労働環境の改善などの制度に後押しされたことも背景にあり、南アフリカには、ワインの販売を通してより積極的に、人々の生活環境や自然保護、教育支援などに取り組む社会貢献的なワインが沢山あります。弊社もこれらのワインを販売する事で、現地の様々な取り組みを応援しています。