「今日のワイン」カテゴリーの日記一覧
- 2021.3.8
- 今日のワイン
ハーテンバーグ:サステナブル(持続可能性)へのアプローチ
サステナブル(持続可能性)へのアプローチ
●地区:ステレンボシュ・ボタラリー・ヒル小地区
●特徴:オーガニック栽培。認証取得予定なし
咋今、気候変動は現実的であり、南アフリカの西ケープ州も気温が上昇し、降雨量は減少しています。私たちハーテンバーグ社は、未来に向けて、ワイナリー及びここで働くスタッフ、そしてワインが今後も生き残っていくために計画し、適応していかなければなりません。
1986年以来、今日に至るまでの26年間に、醸造責任者であるカール・シュルツは、オーナーのマッケンジー・ファミリーと連携して、ハーテンバーグにある天然資源を利用したり守ったりしながら、様々な自然との共生プロジェクトに熱心に取り組んできました。
ハーテンバーグのアプローチは、ここで働く人、住んでいる人、全てを含むファームのあらゆる点においてカバーされています。
■湿地:
-このファームの敷地170ヘクタールのうち65ヘクタールは自然のままの湿地です。
-外来種の除去
-この地域に生息する鳥やカエルがたくさんいます。
■水:
-ここには5か所の水源があり、注意深く管理することで、300年以上もの間、水に関して大きな問題が無かった。
-ここでは、セラー、テイスティングルーム、レストラン、住宅から出る全ての廃水をリサイクルしています。
-廃水は、花崗岩の砂利、泥炭、ベッドのように重ねられた葦(あし)で綺麗になるまで繰り返し濾過され、畑や庭の灌漑用水に使われます。
-ハーテンバーグの水は15年間、この敷地内で何度も再利用されてきました。
■廃棄物のリサイクル:
-敷地内のレストランから出る全ての食品廃棄物や、セラーから出るブドウの皮と茎から堆肥を作り、畑に戻しリサイクルしています。
■銅(ボルドー液):
-オーガニック栽培では、使用を許可されていますが(1リットルあたり4mg)、長い目で見れば土壌に良くないので、銅を使用しないことを選択しました。
■IPW:
-ハーテンバーグは有機農法を採用しています。また、南アフリカワイン業界が推進している「持続可能なワイン生産」、つまりIPW(Integrated Production of Wine:「環境と調和したワイン生産」)に準拠しています。
-Integrity&Sustainabilityシール(下写真。ワインの首に貼付されている)は、消費者とワインバイヤーに対して、自然環境に配慮し、持続可能な農業をしていることを保証します。
■生物的な防除対策:
-ハーテンバーグの畑では、15年以上もリーフロール病の被害はない。実際には次のような対策を行っている。
1.羽のあるオスのコナカイガラムシの数を監視するためのフェロモン・トラップ。
2.メスのコナカイガラムシと、その蛹(さなぎ)を食べる南アフリカ・テントウムシの導入。
3.メスのコナカイガラムシを狩るハチの導入。
-フクロウが住みやすいように巣箱を設置している。ハーテンバーグでは現在、9組のフクロウやワシミミズクが生息しています。 彼らは、ネズミやヘビの駆除に役立っています。実際、毎晩平均して10〜20匹の獲物を捕まえています。
■灌漑:
灌漑中の蒸発を次の方法で10〜20%削減しています。
-下層土に灌漑
-日中から夜間の灌漑への切り替え
■水分調査器:
-ハーテンバーグでは、1990年代後半に南アフリカで最初に植物の水分調査器を購入しました。これは、カリフォルニアで開発されたキットで、ブドウの葉から水分レベルを測定する機器です。これにより灌漑の必要性を判断します。
■カバークロップ(被覆作物:ブドウの畝(うね)と畝の間に植える植物):
-ハーテンバーグでは、土壌の改善の為にカバークロップ(被覆作物:下写真)を採用しています。
-マメ科植物は土壌中の窒素と結合し、ブドウの木の成長および健康的なブドウの生育を助けます。
-グラベルヒル(同社のフラグシップワイン:下写真)の畑は、重い粘土質土壌で、ワイルド・ラディッシュを植えている。それは、粘土のような土壌でも根が伸びていき、枯れた後には、その空間にブドウの根が伸びるのを助けてくれます。
-セラデラ牧草マメ科植物の紫色の花がミツバチを引き付けます。ハーテンバーグには、蜂の巣箱が30個あります。実際、ブドウはミツバチによる受粉を必要としませんが、ケープ地方の土着の植物であるフィンボス(下写真)や多くの植物にとっては、ミツバチは必要です。
■労働者の家族やスタッフの育成:
-家族経営ですので、毎年のスタッフの知識や技術の向上が不可欠です。そうすることで、ワインの品質も上がります。
-学童保育(PEBBLES:ペブルス・プロジェクト)への施設の提供、成人識字クラスの援助
-職場と自宅の無料送迎
-子供達のスクールバスの費用負担
グレネリー:バックヴィンテージの案内
グレネリー社から
素晴らしいバックヴィンテージを頂けることになりました。
(現地在庫、根こそぎもらいました)
一部を試飲しましたが、個人的には早くも
「2021年最優秀ワイン」の候補に入れました。
酒販店様、飲食店様でご希望の方は弊社までご連絡ください。
一般の方はお近くの酒販店様、ワインショップ様に
お尋ねください。
既に予定数量を超えたアイテムもございます。
必ずしもご希望通りにならないこともございますので
予めご了承ください。
●数量限定
●受注締切:3/12(金):締切後、割当分を再度連絡致します。
●入荷予定:6~7月頃
●ヴィンテージ、価格の詳細は
下記、酒販店様、飲食店様向けの案内チラシをご覧ください。
- 2021.2.10
- 今日のワイン
グレネリー:サスティナブル・アプローチ
2021年2月
サスティナブル(持続可能な)取り組みについてまとめました。
1.畑
2004年植樹
2018年からシャルドネと一部メルロの畑からオーガニック農法をスタート。
2019年にはオーガニックを15haに広げる。
2020年からは全ての畑をオーガニックで管理。
2025年までにオーガニック認証を受ける予定。
2021年ヴィンテージ:ブドウは小さくとても良いブドウが出来ている。
●防カビ対策:現在はボルドー液を使用しているが、長い目で見れば土壌にも良くないので現在は他のアプローチを考えている。
●防虫対策:ニームオイルの使用。捕食昆虫の導入。
●雑草対策:カバークロップ(クローバーなどのマメ科の植物や麦などを畑の畝に植えること)によって雑草の成長を抑制し、土壌の水分を保ち、土壌中の窒素循環を促している。
また、ユーカリや松などの外来植物を抜いて土着のフィンボスなどに植え替えることで以前より土壌の保水力が向上し灌漑の使用が減っている。例えば、成長したユーカリの樹は1日に350Lの水を吸い上げ、土着の品種より圧倒的に多い。
今では、フィンボスの仲間のプロテアを畑の境界線の周囲に植えることにより、蜂が増え、それらが害虫を減らすことにも役立っている。
現在、グレネリーでは160種の鳥、ヤマアラシ、ワイルドキャット、マングース、ヒョウ(夜行性なので昼間に出会うことはない)なども生息しており、動物たちの楽園になっている。
下写真は栽培責任者のヘンドリック。
2.人
グレネリーでは、オーナーのメイ夫人(写真下)の意向で、労働者の子供、家族への支援にも力を入れている。敷地内にケアセンターを開設し、日本で言えば、学童保育のような、学校終わりの放課後に12人の労働者の子供達を世話している(写真下。ケアセンターで子供達のお世話をしているローズマリーさんと子供達)。そこでは栄養バランスの取れた食事、図書館、コンピューター、インターネットなどを提供し、学校の宿題もみている。更に学費、学校教育で必要な文具や備品などの購入も支援している。
現在、グレネリーでは、8世帯の家族に家や小さな土地を与え、光熱費や生活に必要な費用を補助している。家族はその土地で野菜なども栽培できるように灌漑も整備されている。
健康面のサポートは、労働者に年間の定期健診を受けてもらい全額支援している。また全労働者に年金制度を整備し積み立てをしている。
3.エネルギー政策
醸造設備(セラー:写真下)は東向きに建てられていて、正面はガラス張りで午前中の柔らかい自然光が入り、電気の利用を減らしている。建物は4階建てでグラヴィティ(重力に逆らわない)・システムを導入することにより、パンピング(ポンプの利用)の回数を減らし、電力消費の減少と、ワインにとっては優しいタッチのワイン作りに役立っている。
壁はコンクリートを採用しているが、コンクリートは理想の温度を維持するのに少量のエネルギー消費で済む。セラー内には15kmにも及ぶ冷水用パイプを張り巡らせ、これにより一般的な空調設備を使いセラー内を冷やすより70%もエネルギー消費を減らすことが出来る。
セラーの屋根はソーラーパネルを採用し自家発電している。
水は主に地下水を利用し、使用後の排水は綺麗に戻してから敷地内のダム(写真下)に戻している。ダムの水は畑の灌漑に利用されている。
セラー内のタンクや設備の洗浄は薬品を使用するのではなく90度の熱湯で行われている。
醸造段階で発生するブドウの搾りカスは畑に戻され、ガラス、段ボール、プラスチック、ワイン用のオーク樽は全て再利用されている。