- 2021.2.10
- 今日のワイン
グレネリー:サスティナブル・アプローチ
2021年2月
サスティナブル(持続可能な)取り組みについてまとめました。
1.畑
2004年植樹
2018年からシャルドネと一部メルロの畑からオーガニック農法をスタート。
2019年にはオーガニックを15haに広げる。
2020年からは全ての畑をオーガニックで管理。
2025年までにオーガニック認証を受ける予定。
2021年ヴィンテージ:ブドウは小さくとても良いブドウが出来ている。
●防カビ対策:現在はボルドー液を使用しているが、長い目で見れば土壌にも良くないので現在は他のアプローチを考えている。
●防虫対策:ニームオイルの使用。捕食昆虫の導入。
●雑草対策:カバークロップ(クローバーなどのマメ科の植物や麦などを畑の畝に植えること)によって雑草の成長を抑制し、土壌の水分を保ち、土壌中の窒素循環を促している。
また、ユーカリや松などの外来植物を抜いて土着のフィンボスなどに植え替えることで以前より土壌の保水力が向上し灌漑の使用が減っている。例えば、成長したユーカリの樹は1日に350Lの水を吸い上げ、土着の品種より圧倒的に多い。
今では、フィンボスの仲間のプロテアを畑の境界線の周囲に植えることにより、蜂が増え、それらが害虫を減らすことにも役立っている。
現在、グレネリーでは160種の鳥、ヤマアラシ、ワイルドキャット、マングース、ヒョウ(夜行性なので昼間に出会うことはない)なども生息しており、動物たちの楽園になっている。
下写真は栽培責任者のヘンドリック。
2.人
グレネリーでは、オーナーのメイ夫人(写真下)の意向で、労働者の子供、家族への支援にも力を入れている。敷地内にケアセンターを開設し、日本で言えば、学童保育のような、学校終わりの放課後に12人の労働者の子供達を世話している(写真下。ケアセンターで子供達のお世話をしているローズマリーさんと子供達)。そこでは栄養バランスの取れた食事、図書館、コンピューター、インターネットなどを提供し、学校の宿題もみている。更に学費、学校教育で必要な文具や備品などの購入も支援している。
現在、グレネリーでは、8世帯の家族に家や小さな土地を与え、光熱費や生活に必要な費用を補助している。家族はその土地で野菜なども栽培できるように灌漑も整備されている。
健康面のサポートは、労働者に年間の定期健診を受けてもらい全額支援している。また全労働者に年金制度を整備し積み立てをしている。
3.エネルギー政策
醸造設備(セラー:写真下)は東向きに建てられていて、正面はガラス張りで午前中の柔らかい自然光が入り、電気の利用を減らしている。建物は4階建てでグラヴィティ(重力に逆らわない)・システムを導入することにより、パンピング(ポンプの利用)の回数を減らし、電力消費の減少と、ワインにとっては優しいタッチのワイン作りに役立っている。
壁はコンクリートを採用しているが、コンクリートは理想の温度を維持するのに少量のエネルギー消費で済む。セラー内には15kmにも及ぶ冷水用パイプを張り巡らせ、これにより一般的な空調設備を使いセラー内を冷やすより70%もエネルギー消費を減らすことが出来る。
セラーの屋根はソーラーパネルを採用し自家発電している。
水は主に地下水を利用し、使用後の排水は綺麗に戻してから敷地内のダム(写真下)に戻している。ダムの水は畑の灌漑に利用されている。
セラー内のタンクや設備の洗浄は薬品を使用するのではなく90度の熱湯で行われている。
醸造段階で発生するブドウの搾りカスは畑に戻され、ガラス、段ボール、プラスチック、ワイン用のオーク樽は全て再利用されている。